習近平、煬帝、太宗


韓国紙セゲイルボ・コラム「説往説来」

 中国軍が黄海(西海)で海上浸透訓練を行った。「30㌔の装備を担いで海に飛び込んで3㌔を泳ぎ…」。中国の国営CCTVは特殊部隊の訓練の様子を報じた。別に珍しいことではない。韓国軍もいつも行っているが、この訓練だけ行ったのか。先月27~29日と今月7~9日に黄海と渤海湾で海・空軍の訓練も行ったという。どんな訓練をしたのか、中国側は口を閉ざしている。

 どうして、こんな訓練をするのか。韓半島の危機のためか。21日から始める韓米乙支フリーダム・ガーディアン(UFG)演習。北朝鮮の核・ミサイル除去、首脳部の斬首訓練も行うのは明らかだ。中国は向かい火を付けるつもりか。

 さらに気にかかるのは、かつて習近平中国主席がトランプ米大統領に語った「韓国は中国の一部だ」という言葉だ。学部時代に化学を専攻した習主席が何を知ってくどくどと歴史の講義をしたのか。もしかすると、二心を抱いているのではないか。“おかしな言葉”が出た後に侵略した歴史があるので、その言葉についていろいろと考えてしまう。

 高句麗26代嬰陽王の18年(607年)。隋の煬帝に黄門侍郎(門下省副長官)の裵矩はこう言った。「高句麗はもともと箕子の封地であり、秦漢時代には中国の郡県だった」。高句麗28代宝蔵王の3年(644年)に、唐の太宗は「遼東はかつて中国の領土だったが、莫離支(行政と軍を司る最高官職)が王を殺害したので、自ら経略しようと思う」と語った。(大)莫離支とは淵蓋蘇文だ。どうして中国の領土だと言い張ったのか。漢4郡があったためだ。漢は衛満朝鮮を滅ぼして楽浪・臨屯・真番・玄菟の4郡を建てた。長く続かず、高句麗の初期に滅んだが、その地の主人は昔の朝鮮、即ち古朝鮮だ。こじつけの論理を掲げた隋・唐は高句麗を侵略した。隋の煬帝の軍は薩水で壊滅し、唐の太宗の軍隊は安市城で惨敗した。

 漢4郡はどこなのか。歴史学者の李丙燾博士は遼東と韓半島北部だと言ったが、歴史家・言論人で独立運動家の丹斎・申采浩の研究は違った。「そんな主張は平壌の楽浪郡と遼東の楽浪郡を混同したためだ。漢四郡は遼東にあった」。

 習近平主席は煬帝や太宗より一歩進めた主張をしている。3人の歴史の知識はどのくらいか。無知さ加減は習主席が最高だ。事実と全く異なることを言うのだから。野心は負けず劣らずか。言葉を聞けば、行動する理由が分かる。習主席の言葉は黄海訓練の種ではないだろうか。

(8月16日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。