広い路地の住宅価格高騰


地球だより

 ベトナムの商都ホーチミン市では自動車が進入できる広さの路地に建つ住宅の価格が急上昇している。中でも12区では第1四半期初めにおける住宅価格が前年同期比35%増と急上昇し、全区で伸び率トップを記録した。

 同区が伸び率トップを記録したのは、価格水準がホーチミン市中心部に比べて半分から3分の1程度にとどまっているほか、都市化が加速する中、繁華街の高価物件を避け、便利でリーズナブルな物件のニーズが高まっているからだ。

 なおベトナムは急速に車社会に入っているが、一昔前までシクロと呼ばれる自転車タクシーが市場を席巻していた時代があった。今でも観光用に、細々と生き残ってはいるが、メインの移動手段はマイカーやタクシーに変わった。

 シクロの時代は、狭い路地裏でもスイスイ入っていった便利さがあったが、さすがにタクシーではそうもいかない。

 だからこそ、それが可能な地域の住宅価格が高騰するのは当然だ。近代化というのは「時は金なり」の世界でもある。

 その時間を節約できる自動車進入可能な路地に立つ住宅価格が上昇するのは、ベトナムが本格的な近代化の波に席巻されている証拠でもある。

(T)