「日本人は完璧」なのか


地球だより

 1月下旬、久しぶりにエジプトの映画を見に行った。友人が、駐エジプト日本大使役で出演し、しかも映画の題が「ヤバーニー・アスリー(誠の日本人)」で、「日本人は完璧」との意味合いが込められていると聞いたからだ。エジプトで日本人を題材にする映画は珍しい。

 ストーリーは、エジプト人男性と日本人女性が結婚し、エジプトに住んで子供を2人持ったのだが、妻はエジプトでの生活に疲れ果て、離婚し、子供を連れて日本に帰ってしまう。

 しかしエジプトに一人残された夫は、子供たちは自分と一緒に住むべきだと主張して大使館を仲介にして交渉、日本大使館が示す条件をのんで、半年ほど、子供たちをエジプトに来させることになった。

 ところが、父親が一生懸命、子供たちを世話するにもかかわらず、子供たちは次第に、エジプトの悪習に染まり始めるのだ。箸を使っていたのに手で食べるようになり、踊りを覚え、たばこを吸い、麻薬にまで手を伸ばして、バーで楽団を背景に踊るようにまでなった。

 日本大使館は、契約違反だとして子供たちの身柄を確保し、日本から母親を呼んで帰国の準備をさせるのだが、空港に着いた子供たちは、母親の手を離して父親の元に戻ることになる。いろんな悪習慣があるエジプトだが、父親に心から愛された子供たちは、父親の愛の深さから、離れようにも離れられないという姿を描いている。

 日本人にとってはショックな結末だったが、人間にとって幸せとは何かを考えさせられる映画でもある。

 ただ、一緒に見たエジプト人は、「これはうそだ、うそだ」と言い、「自分だったら日本を選ぶ」と声高に話していたことは興味深かった。

(S)