潘基文氏は「油ウナギ」


地球だより

 こちらに赴任して間もない頃、毎週水曜日の日課は午前中に外交部の定例ブリーフィングに出席することだった。当時、盧武鉉(ノムヒョン)政権の外相だった潘基文(パンギムン)氏が自ら質疑応答に応じるのだが、日韓関係が悪化した時などにかなり答えにくい質問が出ても、のらりくらりとかわしていたのが今でも印象に残っている。「油ウナギ(油を差したウナギのように極めてつかみどころがないという意)」という仇(あだ)名は恐らくその頃付けられたのだと思う。

 あれから10年。どんなに国際舞台で“活躍”したとしても人間とはさほど変わらないようだ。国連事務総長が任期満了となり帰国した潘氏は次期大統領選への出馬を念頭に活動をスタートさせているが、1980年に軍事独裁政権に抗議した学生が犠牲になった光州事件の際、民主化運動を称(たた)え作られた歌「あなたのための行進曲」を事件の記念曲に制定するかと記者に尋ねられ、「次の機会にしましょう」とかわした。

 「はい」と言えば今の革新勢力を支持するし、「いいえ」なら保守支持だが、国政介入事件でまだ社会が混乱する中、下手に自分の政治的立ち位置を表明すれば票を失いかねないという計算が働いたのは明らかだ。

 かつて日韓「慰安婦」合意を歓迎したことを批判されると「完全な合意だと評価したわけではない」。もっとも場所や相手次第でスルリとかわす術(すべ)はそれはそれで政治家向きなのだが…。

(U)