ポケモンGOで逮捕者


地球だより

 世界中で人気のポケモンGO。実はロシアではいまだ公式に配信されていないが、外国のウェブサイトで購入してプレーすることは可能だ。筆者の友人たちの多くも、ポケモンGOを楽しんでいる。

 公式配信が実現していないのは、ロシア政府が警戒しているため。ポケモンGOを開発したナイアンティック社は米国中央情報局(CIA)と密接な関係にあり、スマホのカメラが捉えた映像が、米国のスパイ活動に用いられるからだという。

 そのポケモンGOをめぐり、ロシアで逮捕者が出た。ウラル地方・エカテリンブルクに住むロシア人男性が、ロシア正教会の聖堂内でポケモンGOをプレーする様子を撮影し、動画をユーチューブに投稿したのだ。逮捕理由は「憎悪をあおり、宗教的感情を害した」。当局によると、最長で懲役5年が科せられる。実はこの男性は以前から、ロシア正教会に対して批判的な動画を投稿しているブロガー。

 聖堂内でポケモンGOをプレーすることがいいことだとは思わないが、男性の行動の背景には、政府と、政府と癒着するロシア正教に対する反発があるという。

 プーチン大統領は7月、反テロ法に関連し、教会の建物以外での宗教的勧誘を禁じる法案に署名し、成立させた。すでにロシア全土に教会の建物を持つロシア正教などには影響はほとんどないだろうが、ロシアで伝道を始めた外国からの宗教団体、欧米系キリスト教やその他の宗教にとっては、活動を事実上封じられることにつながる。

 確かにテロの防止は非常に重要だが、それに名を借りた信教の自由の制限だと、欧米などから批判を浴びている。

(N)