情宣用のビラ


韓国紙セゲイルボ・コラム「説往説来」

 情宣用のビラが韓半島に初登場したのは韓国動乱の時だ。「敵を紙で埋めろ」という米陸軍長官フランク・ペースの命令に従って、米軍はB29爆撃機を利用して最大40億枚散布した。地面に積もったビラが兵士たちの膝頭まで達したという報告があるくらい、ものすごい量だった。

 休戦ライン近くで育った筆者は1960~80年代に無数に多くのビラに接した。山野はもちろん田畑にも何の紙かと思ったら、だいたい(北朝鮮の)ビラだった。派出所に持っていくとノートがもらえた。ある時は肥料袋いっぱいになって自転車で運ばなければならないほどだった。風船が裂けないまま飛んできたものは軍人たちが集めていった。時限爆弾が設置されているので、むやみに触ってはいけないという話も出回った。

 当時のビラは越北(北朝鮮への亡命)者たちが北で大学に通って結婚もするなど、いい暮らしをしているというものが主流だった。韓国の大統領を“傀儡(かいらい)”と呼んで非難する文句もあった。流言飛語の震源地だったわけだ。

 先月初、北朝鮮は坡州(パジュ)一帯に5回ビラを散布した。『国情院を改革しろ』『従北騒動はもうおしまい』などのプラカードを掲げた抗議デモの写真を印刷しており、あたかも韓国側の市民団体が作ったもののように偽装した。われわれの敏感な時事問題を刺激して“南南葛藤”(韓国の内部対立)を誘発しようという意図だ。

 最近、インターネットに『越北すれば直ちに富と異性の両方を手に入れられる』『タレントのような待遇でマンションと外車も提供される』という広告が出回った。実際に越北した者もいて、それなりの効果はあるようだ。(その越北者は)送り返されてきたが…。

 数日前、(内乱陰謀容疑で拘束中の)李石基(イソッキ)、(統合進歩党解体に反対して剃髪〈ていはつ〉した女性の)金在●(=女へんに幵)(キムジェヨン)両議員の事務所に届けたという説明と共にビラ2枚が筆者に配達された。在郷平壌市民会が北朝鮮に向けて送り飛ばしたビラだった。表面には『自由は豊かで美しい』という文言と共に、南北がはっきり対比される衛星から見た韓半島の夜景とまばゆいばかりに輝くソウルの夜景、南北の経済規模を比較した図表が印刷され、裏面には『北朝鮮の世襲政権は2018年以前に崩壊する』という文句が書かれている。

 北朝鮮は「拡声器とビラのために核を造った」といわれるほどビラに敏感な反応を示す。一㌦紙幣と一緒に送り飛ばすビラには特に敏感だ。ビラをまかなくてもいい日がいつ来るのだろうか。

(11月13日付)