商業的代理出産を禁止


地球だより

 金銭を得て代理出産することや精子・卵子の売買を禁止する法律が先月末、タイで発効した。タイでは1年ほど前、外国人から依頼を受けたタイ人による代理出産に絡むトラブルが大きく報じられており、議会はこれを規制する法律制定に動いていた。

 とりわけ注目を浴びたのが、タイで日本人男性(24=当時)が代理出産により17人もの子供をもうけていた問題だ。日本人父親の指示を受けていると思われる代理母6人は、子供の引き渡しを求めてタイ政府を告訴。さらに日本人父親は年初、タイ政府を相手取り、子供の引き渡しを求め裁判所に提訴している。

 なお日本人父親はカンボジアのプノンペンに子供たちの養育施設を用意するなどしていたことが判明したが、日本人父親の目的は子供の名義を利用した土地など不動産購入だったともされる。都心部など、まだまだ上昇が見込めるタイの土地を狙ってのことだというのだ。

 タイではコンドミニアムなどは購入可能だが、土地購入は外国人には許されておらず、タイ人代理母を使って子供の戸籍を取得させ、その戸籍を利用して外国人には許されていない土地購入へと動き、資産を膨らませる意向だったと分析するメディアが出てきた。

 こうした投機目的のために代理出産を利用するのは、子供の生命の尊厳を犯すことには間違いがない。

 タイ保健省では、国内に60以上もの医療機関が不妊治療サービスを提供しているが、同法では、代理出産に関し医師が認めた夫婦に限り利用することができるとされ、報酬目的の代理出産や精子・卵子の売買ビジネスにたがをはめた。

(T)