ある中年男性の愚痴


韓国紙セゲイルボ・コラム「説往説来」

 自営業を営んでいる。人々は「社長!」と呼ぶが、見掛け倒しだ。やっと食べていけるほどの小さな店を営んでいるが、毎日が戦争のようだ。ちょっと商売になるなと思うと、すぐ隣に同じ店が建つ。私のような自営業者が700万人を超える。創業1年もしないうちに40%が看板を下ろし、5年後の廃業率は70%。毎年80万人くらいが店じまいする。銀行の負債は140兆ウォンにもなる。誰の目も気にせずに自分で稼いで生計を立てているので「気楽だろう」と思うだろうが、絶対にそうではない。もしサラリーマン生活をやめて商売でもしようと思っている人がいるなら、手弁当で訪ねて行って思いとどまらせるだろう。

 歳(とし)は不惑(40歳)を超えた。かつて“オレンジ族”だと後ろ指をさされ、“X世代”だとうらやましさと嫉妬が入り混じった視線を向けられた。あの時代が懐かしい。子供たちを大学卒業まで勉強させようとすれば、あと10年働かなければならない。いつも襲ってくる漠然とした不安感で眠れぬ夜を過ごすことは1度や2度ではない。社会的にある程度経歴を積んで旺盛に働く年齢なのに、明日に期待を持てずにその日暮らしの生活をしていることがやるせない。10年、20年後に何をしているだろうか。

 私も大学を出た。名門大学ではないが、合格した時には両親が大喜びしてくれた。大学の卒業証書が輝く未来を保証してくれるわけではないことを後に知った。あるカネ、ないカネすべてかき集めて塾や家庭教師の世話になり、大学に入ったかいがない。立身出世の夢を抱いて卒業してみると、大卒はごろごろいる。わが国の大学進学率は70%を超える。職探しは極めて難しい。運よく就職したとしても低賃金が大半だ。大卒の23%が高卒より低い賃金だというから、なんやかやと相対的剥奪感はさらに大きくなる。

 近頃になって別れた妻のことを思い出す時が多くなった。「そばで慰めてくれる妻でもいれば、苦しみが和らぐだろうに…」という思いが切実だ。男が老後に幸福に暮らそうと思えば、一にワイフ、二に妻、三に女房がいなければならないという話があるが、絶対に笑い話ではない。あちこち再婚先を探しているが、ろくでもない離婚男に目を向ける女はいない。妻を大切にしてあげられなかった過去を、痛切に後悔している。

 韓国社会で最も不幸な人間は「自営業に従事する40代の大卒離婚男」だというアンケート調査の結果を見た。心が痛い。

(1月10日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。