一人の神父の「罪と罰」


 バチカン放送独語電子版が29日、悲報を報じた。イタリア北東部のトリエステのローマ・カトリック教会の神父が自殺した。神父の所属する司教区の話によると、神父は先月25日、13歳の少女に性的虐待を行ったことを司教に告白していたという。

 バチカン放送によると、神父は司教に聖職停止を自ら求めると共に犠牲者への謝罪を表明していた。司教が28日、神父に教会の裁判が行われる旨を伝えたようとしたところ、部屋で首をつって死んでいる神父が発見されたという。

 バチカン放送は48歳の神父の略歴などを報じていないので詳細な神父のプロフィールは分からないが、未成年者への性的虐待という罪の重さに耐えられず、自ら命を絶ったのだろう。神父は担当司教に罪を告白したというが、教会側の聖職者へのケアは十分だったのだろうか。

 ローマ・カトリック教会では前ローマ法王べネディクト16世時代、聖職者の性犯罪が次々と暴露され、その数は1万件をはるかに超えるという。聖職者から性的虐待を受けた犠牲者の話を聞きながら、べネディクト16世は涙を流した話は有名だ。
 同16世はその直後、聖職者の性犯罪に対して「教会は隠蔽しないこと、性犯罪を犯した聖職者の聖職剥奪」などを決めている。同時に、聖職者の予備軍、神学生に対しては心理テストを実施、聖職者の適正検査などを導入している。

 ローマ法王フランシスコは聖職者の性犯罪に対しては前法王べネディクト16世と同様、“ゼロ寛容”の政策を継承してきたが、聖職者の性犯罪は依然、起きている。バチカン法王庁総務局長代理のアンジェロ・べッチウ大司教は9月、イタリア日刊紙イル・メサゲロとのインタビューの中で「昨年1年間、聖職者の未成年者への性的虐待容疑に関連した告発件数は600件だった」と語っている。

 性犯罪はもちろん聖職者だけの問題ではないが、信者を牧会する聖職者ゆえに、その責任はやはり大きいと言わざるを得ない。若い神父の性犯罪と自殺というショッキングなニュースに接し、神父の死を無駄にしないためにも、教会は若き聖職者たちへのケアを忘れてはならないだろう。同時に、繰り返すが、聖職者の独身制を真剣に再考すべき時だろう。

(ウィーン在住)