北欧は老人天国か?


地球だより

 高齢者(60歳以上)にとって最も住みやすい国のランク付け表がこのほど発表された。英サザンプトン大学の研究者らが、世界96カ国を対象に所得保障、健康状態、雇用と教育水準、社会的な安全性と自由行動、の4分野での指標を総合して順位を付けた結果、最も高い評価を得たのは①ノルウェーで、以下10位までは②スウェーデン③スイス④カナダ⑤ドイツ⑥オランダ⑦アイスランド⑧米国⑨日本⑩ニュージーランドだった。

 上位10カ国中、4カ国が北欧諸国だ。1位のノルウェーは所得保障、雇用と教育水準の両分野で世界トップの評価。2位のスウェーデンは、雇用と教育水準(3位)、社会的な安全性と自由行動(6位)で高い評価だ。3位のスイスは、社会的な安全性と自由行動がトップで、健康状態で世界2位の評価。9位の日本は、健康状態でトップの評価を得たが、所得保障(31位)と社会的な安全性と自由行動(21位)の評価が低い。

 記者の住む英国はニュージーランドに次いで11位で、以下20位までを見ると、デンマーク、オーストラリア、オーストリア、フィンランド、フランス、アイルランド、イスラエル、ルクセンブルク、エストニアとなっている。北欧諸国は全て20位までに入っているが、その理由として年金が十分に保障されていること、安全で自由な社会生活ができることが挙げられる。これと対照的なのが日本で、世界最高長寿国ながら公的年金が低く老後の生活不安が大きい。

 さて、どちらに住むのが幸せかとなると難しい。評価の指標には天候など自然環境の要因や家族関係は含まれていない。英国を含めて北欧諸国には長くて暗く、寒い冬があるため、概して高齢者の健康状態は良くないし、家族関係も希薄だ。生活は保障されているが、孤独で健康に不安がある生活をするか。あるいは、比較的健康だが貧乏生活をするか。

(G)