北朝鮮の国旗はご法度!


地球だより

 今週から韓国・仁川で始まるアジア大会に参加する北朝鮮の国旗「人共旗(朝鮮民主主義人民共和国国旗の略)」が、ちょっとした議論の的になっている。ある競技場前の道路に他国の国旗と並んで掲揚されていた人共旗が、これを見た保守系団体のメンバーの抗議で撤去されたことが発端となり、人共旗掲揚の是非がクローズアップされた。

 この問題で検察当局は、競技場・表彰式場・選手村の3カ所以外での人共旗の所持・掲揚は一切認めないとする方針を発表し、これに反した場合は「利敵性」があるとみなし、国家保安法違反で厳重に処罰すると明らかにした。

 かつて韓国は人共旗に極めて敏感な時代があった。大学街で反独裁政権・左翼運動が吹き荒れていたころ、北朝鮮にシンパシーを抱いた一部の学生たちがキャンパスに人共旗を掲げると、それだけで新聞の1面でたたかれるほどだった。国旗には国民に愛国心を鼓舞させる力が込められているものだが、はためく人共旗に北朝鮮への思いが高揚する若者が本当にいたので、そのような反国家行為につながるものは絶対容認できなかったのだ。

 その後、韓国は国力で北朝鮮を圧倒し、人共旗に啓発される者はほとんどいなくなり、人共旗がどこの国旗かさえ知らない人も多いが、依然として韓国にとって北朝鮮は「主敵」。分断国家の現実を決して甘く見ない当局の判断はさすがと言うべきか。

 ところで、今回の仁川アジア大会にはあの「美女軍団」(北朝鮮女子学生らによる応援団)が来ない。追っ掛け取材ができないと悔しがる韓国人カメラマンもいるが、北に融和イメージを刷り込まれないで済むと思えば損した気分にはならないかも。

(U)