フランスで増える聖戦主義戦闘員


地球だより

 11日付の仏日刊紙リベラシオンは、フランスでは現在、約950人のフランス人がシリアの反政府運動に関与し、約350人がシリアやイラクで戦闘に加わっており、150人が移動中、180人が帰国し、220人が出国待機中と報じた。

 この数字は8月中旬にフランスの国民議会がテロ対策強化法案の審議を行った際に、与党・社会党のピエトラサンタ議員が用いた数字だ。他の専門家はシリアやイラクでイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」の戦闘に加わったフランス国籍所持者は2000人を超えているという見方もあるほどだ。

 米国人や英国人がイスラム過激派組織に加わっているニュースは多いが、実はフランス人は最も有力な戦闘員に数えられている。フランスで生活していれば、アラブ系住民の数の多さに驚かされる。パリ北郊外や東郊外、南郊外で地下鉄の駅を降りると白人を見掛けないほどアラブ系住民が多い場合もある。

 貧困と差別、文化の違い、両親の離婚など、彼らは苦労している場合が多い。

 最近、イスラム聖戦主義に傾倒し、シリアの戦闘に加わるフランス人には、優秀な者も少なくない。優秀な成績でも学校や社会での孤立感は拭えない。ただ、戦闘に憧れるのは彼らだけではない。フランスでは毎年数千人の白人フランス人がイスラム教に改宗し、過激思想に走っている。

 9月にトルコ警察から移送されてきたムラット・ファルス容疑者は、フランスで聖戦主義戦闘員候補者を勧誘する強力なリクルーターだった。彼はソーシャルネットワークなどでリラックスした自分の写真や動画を好んでアップし、聖戦に軽い気持ちで参加できる雰囲気づくりをしていたという。

 フランスのカトリック教徒の中には「われわれの信仰が弱まるのに比例して、若者がイスラムの過激思想に魅了されていく」と指摘する声もある。

(M)