法案は凶作なのに…


韓国紙セゲイルボ

 誠がこもった贈り物は威力がある。与える側と受ける側の双方を喜ばせ、義理と情がいっそう厚くなる。修道女の李海仁さんは「贈り物の幸せ」という著作で「贈り物を準備する過程が私にとっては一つの祈祷(きとう)であり、愛の小さな儀式だ。負担になる時もあるが、贈り物は人を幸せにする。互いに心さえ通じればいいのに、どうして形に現れる贈り物をしなければならないのかと、誰かが突っかかってくれば、『愛は表現を望むからよ』と答える」と語った。

 贈り物はソル(旧正月)や秋月(旧歴8月15日)などの名節に最も多く流通する。財布のひもが緩むので経済が活気づく。今年、主要百貨店で秋月の贈り物の予約販売高は昨年を30%ほど上回った。“名節経済学”という言葉が訳もなく生まれたのではない。贈り物一つで心配の種だった子供は孝行息子・娘となり、気まずい仲だった隣人や知人はいっそう度量が大きく感じるようになる。

 消費心理の活性化と美風良俗を維持するためにも、名節の贈り物文化は勧奨すべきだ。しかし、名節の贈り物の顔に泥を塗る輩(やから)がいる。他ならぬ贈り物の姿を借りた賄賂だ。イシモチの干物やリンゴの箱に現金の束を詰め込んで配達されるのが典型的な手法だ。モンテーニュは「タダでもらう贈り物ほど高くつくものはない」と言った。受け取る側の良心を麻痺(まひ)させる賄賂は、必ず後で面倒な事を生むものだ。「黒い贈り物」をもらって身を滅ぼした“お偉方”は一人や二人ではない。

 汝矣島の国会議員会館に秋月の贈り物が殺到しているという。議員会館のロビーには1日500~600個の贈り物の箱が積まれ、物流センターになってしまったという。贈り物は大部分、政府の傘下機関や選挙区の人たちが送ってきたものだ。国政監査や請願と関連し“善処”を願う無言のメッセージは、以心伝心で通じる。

 わが国の国会議員たちはこれまで4カ月間、セウォル号特別法をめぐって互いに論争ばかりしてたった1件の法案も処理しなかった。それでも歳費を700億ウォンももらっていく破廉恥な姿を見せてきた。いくら無為徒食しても、悪口を浴びせかけられても、ちゃんと歳費が出て、名節の贈り物までたっぷりと手に入る特権層がいるというのは、極めて不愉快だ。大韓民国の国会議員。本当に“いい”職業だ。

(9月4日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。