日用品を商うスーパーや量販店では… 


 日用品を商うスーパーや量販店では「お値打ち品」の人気がなお高い一方で、円安・株高を追い風に百貨店で輸入ブランドや宝飾品など高額品の販売が勢いづいている。

 国内新車市場でも維持費が安い軽自動車と、富裕層向けに高いブランド力を持つ外国メーカー車の人気が上昇。国内新車販売に占める「軽」と「外国車」の比率を合わせると5割に迫るという。

 消費の二極化、多様化と言えようか。2020年夏季五輪の東京開催決定を受けて祝賀気分の広がりも生まれており、消費拡大を期待したいところだ。

 しかし、「月に群雲、花に風」。少子高齢化が進む中、持続可能な社会保障制度の確立の見通しは立たず、世代間格差などは深刻さを増すばかり。社会保障の財源確保のため、14年4月からの消費増税が決まったこともあって、消費者の財布の紐は必ずしもゆるくはない。

 流通大手の13年8月中間決算でイオンやセブン&アイ・ホールディングスが増収・増益を達成したが、消費増税は各社の経営に暗い影を落としている。小売業は踏ん張りどころだ。

 企業経営には「顧客の創造」、端的に言えば顧客争奪競争の一面がある。この競争に耐え抜くには、消費者の信頼確保が不可欠だが、その道理を経営中枢が十分わきまえているかどうか。経営学の第一人者で、社会思想家のP・F・ドラッカーの至言「企業が生み出すものは満足した顧客」を忘れたくない。