ガザ攻撃で冷静だった国民


地球だより

 イスラエルとパレスチナのガザを実効支配するイスラム根本主義過激派組織ハマスとの激しい戦闘を目前に、今回のエジプト国民は実に冷静だった。「イスラエル反対」を叫んだ中南米や一部欧州諸国の国民とは対照的に、「イスラエル反対・ハマス支持」を叫んだエジプト国民はほとんどいなかった。いつもなら、どこの国以上に激しく行動する国民なのだが。

 それは、ハマスの母体である、ムスリム同胞団とハマス自体の正体と行動の動機、その無責任さ、身勝手さ、住民を自分らのためにのみ利用して人間の盾とし、決して個々の命に配慮することの無い冷酷非情な性質を、2011年から14年にかけてのアラブの春騒動で、身に染みて感じていたからだ。

  同胞団やハマスを含むイスラム過激派の最終目的は「イスラム法施行によるイスラム独裁国家」であって「民主国家」ではない。ボコ・ハラムやイスラム国と本質的にはなんら変わらない性質を持つ過激派団体だ。そこを見抜けない一部国際社会や人権団体は、「女性や子供が多数死んだ」と騒ぐが、それも皆、同情を買って有利に戦いを推し進める過激派の戦略なのだ。

 国際社会は、ハマスやイスラム国、アルカイダ系諸組織の実態を良く見抜いて、民主主義を拡大するための戦いを一致団結して推し進める必要がある。ハマスのさらに重要目標は、対イスラエル戦闘姿勢を誇示することにより、アッバス・パレスチナ自治政府議長を支えるファタハを西岸から追い出し、全パレスチナを制覇するこ とにある。エジプト国民はそのことを見抜いている。

(S)