男女別学のメリット


 戦後、GHQの教育政策により、公立校のほとんどが男女共学に変わった。いま高校全体で女子校は6・88%、男子校はわずか2・8%。別学は1割以下だが、東大合格トップ10の8校を占めるほど高い学力を誇る。

 先日、品川女子学院(東京都品川区)で行われた日本男女別学教育研究会のシンポジウムでは、別学校の教員らがそのすばらしさを滔滔(とうとう)と語ってくれた。研究会を主催する中井俊己氏は、全国の女子校・男子校を訪ね、教育現場の生の声を拾い上げるとともに、さまざまな調査データから別学教育の良さを説いてきた。

 氏によると、別学の一番の利点は男女それぞれの発達特性(違い)にあわせた教育ができるため、学力が伸びることだ。女子は早熟で言語能力が高く、こつこつとドリル方式を好む。PISAの学力テストでは女子の読解力の平均点は男子を20~30点も上まわる。

 一方、男子は数学的能力が高く、ゲーム感覚で競争意識を持たせると伸びるという。特に男女の違いが顕著になる思春期以降は、性差の違いに配慮した教育指導が重要になる。なでしこジャパンの佐々木則夫監督の言を借りれば、「男子は上から目線、女子は横から目線」が効果的なのだと、中井氏は男女の指導法の違いを分かりやすく語ってくれた。

 生徒たちは別学を選ぶ理由に、異性の目を気にせず、伸び伸びと学習に集中できることを挙げる。共学校のなかには別学の利点に気づいて、男女別クラスを設ける学校も出てきている。

 文部科学省は、60年余続いた「6・3・3制」を子供の発達成長に即して見直す方向で本格的に検討を始めた。欧米では脳科学的知見を取り入れ、男女別学を導入する学校が増えており、効果を上げているという。脳科学の知見を生かすなら、男女の違いにも目を向けるべきだが、歪(ゆが)んだ男女平等思想から抜け出せない教育界では遠い議論になりそうだ。(光)