白頭・漢拏・富士山人脈


韓国紙セゲイルボ・コラム「説往説来」

 「北朝鮮でいい暮らしをしようとすれば、いい人脈をつかまなければならない」という言葉がある。白頭山(ペクトゥサン)人脈、漢拏山《ハルラサン》人脈、富士山人脈をつかんでこそ権力を握り、腹をすかさないという意味だ。白頭山人脈は北朝鮮の権力の象徴として通じる。金日成と抗日運動を共にした元老たちとその子孫たちだ。万景台革命学院を経て金星政治大学、金日成総合大学など北朝鮮で最高の大学に送られて金日成一家の忠犬として育成される。党・軍の高官は白頭山人脈の予約された出世コースだ。身分世襲社会の北朝鮮で“金の匙(さじ)をくわえて生まれた”特権階級が彼らだ。

 苦難の行軍(1995~98年)以後、脱北者が増加して漢拏山人脈が急浮上した。漢拏山人脈は韓国に定着した家族が送ってくれる金で豊かな生活をする。敵対階層に分類されてありとあらゆる冷遇を受けてきた越南・脱北家族が新興経済勢力として浮上したのだから、桑田変じて蒼海となるとはまさしくこのことだ。脱北家族が送ってくれたカネで商売をして成金になった人は少なくない。漢拏山人脈とは信じて掛け取引を行うほど、脱北者家族に対する雰囲気が変わったという。

 ある脱北者は「地方の保衛員たちが脱北者家族を5世帯だけ管理すれば、一生食い扶持(ぶち)に困らないカネを稼ぐという話まで出回っている」と伝える。カネの力は結婚観まで変えるほど威力がある。北朝鮮女性の間で漢拏山人脈は一番人気の結婚相手になっている。漢拏山人脈と結婚したがる労働党幹部の子供たちまでいるほどだという。契機となったのは、食糧の配給が絶えて数百万人が飢え死にしたこと。これを直接目撃した1990年代生まれの世代が生存の道は、出身成分でなくカネだということを体験で悟った結果だ。身分社会の亀裂は思わぬ所から始まるというが、まさしくこのことだ。

 日本が対北送金と両国間の人的往来の規制を一部解除したことで、北送された在日僑胞の富士山人脈に対する関心が高まっている。8年ぶりに朝鮮総連などのカネの流れが解かれて対北送金額が増大するとの展望が多い。日本の親戚からの送金で一時富裕層として暮らした富士山人脈は日本政府の対北制裁が長期化して最悪の生活苦を味わってきたはずだ。

 白頭山人脈、漢拏山人脈、富士山人脈は北朝鮮社会の歪(ゆが)んだ断面を反映している。背景や外部支援がなければ暮らしていけないという意味ではないか。熱心に働いても貧困から抜け出す道がない。能力と努力に相応する報償もなされない。絶望的な今の北朝鮮の現実だ。

(7月8日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。