英の学校教育の場で文化衝突


地球だより

 バーミンガムで公立校の認定を受けていた数校の小中学校が英教育省のガイドラインに従わず、イスラム教の教えと価値観を中心にした学校運営をしていたことが学校監査の結果、問題になり、公立校認定取り消しの事態にまでなった。ゴーブ教育相は問題を重大視して、9月の新学期からイングランドの全ての小中学校は公立私立を問わず「英国の価値観」を尊重した教育をしなければならないとの通達を出した。

 マイノリティー住民が多い大都市では多文化社会を反映して、イスラム教徒、ヒンズー教徒などの子弟が多く通っている学校がある。特にイスラム系の父兄たちは子供たちがイスラム教の伝統的価値観を守ることを願って学校運営にまで過度に介入してきたというのが今回の問題点だ。

 「英国の価値観」として、キャメロン首相は「自由、寛容、法治の尊重、個人的社会的責任、英国の慣行の尊重」を挙げ、クレッグ副首相は「民主主義、法の下の平等、男女平等」を挙げている。これらは確かに全ての市民が守るべき社会規則として必須だ。

 だが、イスラム教徒の人たちが心配しているのは、英国の学校教育では、子供たちが酒やたばこ、麻薬、カジュアルなセックス行為、ホモ行為などに走るのを防止できないことだ。特に公立校では道徳規範教育の実践がないがしろにされている。

 先日も、自宅近くの公園を歩いていたら、学校帰りの中学生の白人の少女たちがたばこを吸いながらだべっていた。一般中流家庭の普通の子たちなのだが、自宅ではさすがに吸えないので、帰宅前に寄り道して吸っているのだ。

 欧米先進国でのモラルの退廃に対するイスラム教徒の抗議は理解できる。ただ、野放図な英国の公立校にも、イスラム教の厳格な戒律を強いるマドラッサ(イスラム指導者学校)にも自分の子供は入れたくはない。

(G)