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昨年までとは違うロシアの夏休み


地球だより

 モスクワの北東約200㌔に、「黄金の環」と呼ばれる観光地がある。

 白亜の建造物群は世界遺産となっているが、その一つ、ウラジーミル市の外れにある「古代ロシア建築の白鳥」と呼ばれるポクロフ・ナ・ネルリ教会を訪れた。古代ルーシ時代、ウラジーミル公アンドレイ・ボゴリュプスキーがその息子の死を悼んで建設した教会だ。

 もともとウラジーミルやスズダリはキエフ公国が北の守りを固めるためにつくった国。あくまでキエフがルーシ諸侯国の中心であった。しかし、このアンドレイはキエフ公国を攻め落としながらキエフ大公にはなろうとはしなかった。その後モンゴルとの戦いの中で中心はさらにモスクワへと移って行く。

 「黄金の輪」を旅していて見掛けるのは、ツーリングをする若者たちの姿。外国人のバイカーだけでなく、ヒッピーもどきのロシアの若者が、日本製バイクや、なんと米国製ハーレーダビッドソンを乗り回し、初夏のロシアの大地を駆け抜けていく。ひと昔では考えられなかった光景だ。

 ロシアでは、初夏になるとダーチャ(別荘)で家庭菜園や森散策をして過ごすのが普通だが、ロシアが豊かになるにつれ欧州など外国に足を運ぶ人たちが多くなった。

 もっとも、今年の夏は少々風向きが違うようだ。ウクライナ問題で欧米と対立し、経済制裁の影響も出始めた。海外で値札を気にすることなくブランド品を買いあさるロシア人の姿はめっきり減ったようだ。

 クリミアを併合し留飲を下げたロシア人たちは、その代償として外国で肩身の狭い思いをすることとなった。この夏は外国旅行を満喫できる雰囲気ではなさそうだ。

(N)