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食い逃げ社会


韓国紙セゲイルボ・コラム「説往説来」

 食い逃げ(モクティ)。食って逃げるの略語で、良い待遇を受けたり甘い汁を吸っても、それに見合う役割を果たせなかったり回避したりすることを指す。食い逃げ資本、食い逃げCEO(最高経営責任者)、食い逃げ公約、食い逃げ選手、食い逃げサイト…。派生語が列挙できないほど多い。食い逃げがはびこる社会環境と無関係ではないようだ。

 2004年に双龍(サンヨン)自動車を買収した中国の上海汽車は食い逃げ資本の代名詞。4000億ウォンの投資と平沢工場の30万台生産設備増設を約束したが、空約束だった。時間稼ぎの後で一方的に法定管理(会社更生法適用に相当)を申請した。ただただスポーツ用多目的車(SUV)の生産技術を中国に盗み出すことだけに関心があったので、当然の結末だったのかもしれない。米国系私募ファンドのローンスターほど国民感情を逆なでした食い逃げ資本はない。外換銀行を買収して8年で投資金1兆3800億ウォンの3倍を超える4兆6635億ウォンの差益を上げて韓国を離れた。国民が苦々しく思うのは当然だ。

 韓国初の宇宙旅行者、李素妍(イソヨン)さんは韓国航空宇宙研究院での義務服務期間2年が過ぎるや否や航空宇宙分野とは無関連の経営学を学ぶために米国に渡り、食い逃げとの非難を自招した。国家が260億ウォンの予算を投入して育てた人材だった。期待が大きかっただけに落胆も大きかった。

 経営の失敗で会社を窮地に追い込んでも巨額の収入を得た“肝っ玉実業家”も少なくない。ファイザーのCEOハンク・マッキンネルがそのトップだ。在任5年間で株価は暴落したが2006年の退任時には歴史上最大規模の1億2200万ドルの退職金と7800万ドルの追加報償を得た。

 6・4統一地方選挙で統一進歩党(統進党)候補が続々と出馬を取り下げた。選挙管理委員会から32億ウォンの国庫補助金をもらってから中途放棄したので激しい食い逃げ非難が起こっている。2012年の大統領選挙でも同党の李正姫(イジョンヒ)候補が選挙補助金27億ウォンを受け取った後に出馬を取り下げた。「統進党の食い逃げは持病」との苦言に対しても弁明できない。

 法制度の不備で支給された選挙補助金を回収する術(すべ)がないという。選挙に候補者を立てない政党が国民の代表たる公党と言えるだろうか。32億ウォンは手にしたが、それよりはるかに大きな価値を持つ国民の信頼を失ったという事実を統進党は骨身に染みて知るべきだ。

(6月4日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。