タイに日本軍が残した都市伝説


地球だより

 タイの現地紙によると4月下旬、映画『戦場にかける橋』で有名なタイ西部カンジャナブリ県の国立公園内の洞窟で、地面を掘り起こしていた男4人が逮捕された。

 洞窟は直径1㍍から2㍍、長さは約30㍍で、人が立って歩ける所も一部あった。本格的な掘削工事を行ったらしく空気を送り込むエアダクトも設置されていた。

 逮捕された男らは1日約1200円で雇われたワーカーだったが、第2次世界大戦末期に日本軍が隠したという「財宝」を1カ月かけて探していたという。

 タイではフィリピンの山下財宝同様、カンジャナブリに日本軍が財宝を隠したという都市伝説が絶えない。そのたびにマスコミをにぎわすが、一度も発掘されたためしがない。

 フィリピンでは大規模な発掘はないものの、時折、1942年の米軍降伏時、ジャングルに隠匿されたニッケル・インゴットや、フィリピンに入植した日本人が引き揚げ時に埋めた財産などが本当に見つかることもあった。それで、フィリピンでの都市伝説が真実味を帯びるような背景があった。だが、タイでは話ばかりで実際に見つかることはなく、それでも性懲りもなくスコップ片手にジャングルに挑む男たちが絶えないというのは、一山当ててやろうという狩猟民族的な国民性によるとしか考えられない。

(T)