ロシアのサラダ風創作寿司


地球だより

 ロシアの庶民的食べ物は、ほとんどが古来からの伝統料理と言える物ではない。旧ソ連圏を旅しながら思うことは、ロシア料理って一体何だろうかということだ。

 ボルシチ、ピロシキ、シャシリク、チェブリキなどは、日本でもロシア料理としてお馴染(なじ)みだ。しかしこれらは、もともとはロシア料理ではない。ボルシチはウクライナの名物料理で、シャシリク(ケバブ・バーベキュー)は中央アジアからやってきた。巨大なギョーザのようなチェブリキはモンゴル系で、有名なペルメニは、あきらかに水餃子なのである。

 ところで、これは間違いなくロシアのオリジナル料理と言えるのが、家庭ごとにレシピが異なる「ロシア風サラダ」(スタリッチニー)。ただ、ロシア人に言わせると、マヨネーズと卵を使ったポテトサラダなら何でも「ロシア風サラダ」なのだそうだ。具はそれぞれの好みで。カニカマにご飯入りのロシア風サラダは結構イケると思う。

 ところで、クリミアを編入したロシアが経済制裁を受ける中、モスクワのスーパーの食品売り場では輸入食材の量が減り、値段も上がってしまった。

 ただ、モスクワのロシア人は比較的裕福である。また、ソ連時代とは比べ物にならないほど舌も肥えてしまった。彼らが買っていく食材の量は、値上げされる以前とほとんど変わらないように見える。

 既にモスクワの街並みの一部と成りつつある日本料理店・寿司屋も、相変わらず多くのロシア人で賑(にぎ)わっている。日本人からみれば少々変わったロシアの創作寿司も増えてきた。ロシアサラダ風のオリジナル寿司も、いずれロシア料理として紹介されるのだろうか。

(N)