ラオスからタイに依存するもの


地球だより

 山岳国家ラオスは売電を生業(なりわい)とするバッテリー国家として知られている。国際河川メコンが流れ、山の多いラオスでは水資源が豊富で、水力発電の場所には事欠かず、ダムを建設するインフラ投資さえ整えば、恒常的な発電能力を生かすことが可能だ。

 だが今回、ラオス北部を歩いて初めて気が付いたのだが、売電は南部や中部でのことで、北部は逆にタイから電気を輸入している。チェンコーンからメコン川を隔ててラオス側に伸びる電線は、タイから電気を輸入するためのものだ。

 詳細を言えば、タイはラオスのビエンプーカーで産出する石炭を輸入し、その石炭を燃やした火力発電による電力をラオスに輸出している。

 なおラオス北部ではタイはラオスに電力を売るだけでなく、労働者も提供している。

 近代化に出遅れたラオスで欠落しているのは、技術や特殊技能を持った熟練労働者だ。

 メコン川に夕日が落ちる午後6時、ラオス北部のフエサーイで一仕事を終えたタイ人労働者が20人ばかり、タイから迎えに来る小舟を待って岸辺に立っていた。ラオス側にはこうした建築関連の熟練労働者や資材そのものが欠けることから、タイの人材と資材に依存せざるを得ないのだ。