卒業式と大震災


 卒業シーズンたけなわだ。袴(はかま)姿の女学生たちを駅や街でよく目にする。卒業は、慣れ親しんだ学校を離れて上級の学校や職場に旅立つ、人生の重要な節目。自分の息子、娘の卒業となれば、その感慨はひとしおだ。

 3年前の、息子の高校の卒業式は忘れられない。直前に東日本大震災があり、余震による危険の懸念があった上に、東北の甚大な被害が明らかになる中で自粛ムードが広がり、式典がしばらく宙に浮いていた。

 最終的に卒業式は余震が続く中で決行された。通常、この時期に卒業式を行うことは当たり前のことだが、そうではなく、卒業式を行って巣立つことができるのは幸運なことと知る機会になったとすれば、卒業生にとってより価値ある式典になったのではないか。

 大震災から早くも3年が過ぎ去った。死者・行方不明者合わせて約1万8500人。今なお26万人以上が避難生活を余儀なくされている。恐らく、その何十倍もの人たちの「日常」が破壊され、新しい生活の基盤を作るために懸命な努力が続けられているのだろう。こちらの方の卒業式はまだまだのようだ。そこで“応援歌”を1曲紹介したい。

 11日のNHKラジオで、被災者が勇気をもらった歌を放送していたが、その中で一番心に残った『アンパンマンのマーチ』だ。かつて妻が「すごくいい歌詞」と激賞していたが、筆者も調べ直して本当に驚いた。ぜひじっくり聞いてほしい。

  そうだ、嬉しいんだ、生きる喜び。たとえ胸の傷が痛んでも。

  何のために生まれて、何をして生きるのか。答えられないなんて、そんなのは嫌だ!

  今を生きることで、熱いこころ燃える。だから君は行くんだ微笑んで。

  そうだ、嬉しいんだ、生きる喜び。たとえ胸の傷が痛んでも。

  ああ、アンパンマン、優しい君は、行け! みんなの夢、守るため。

(武)