ミャンマーの下呂温泉行きバス


地球だより

 ASEAN最後のフロンティアとして海外からの投資が急増し始めているミャンマーでは、長距離バスが人気だ。鉄道もあるのだが、メンテナンスが不十分で平均時速20㌔程度と遅い。その点、主要都市間の高速道路も整備され効率的な移動が保証されているミャンマーでは長距離バスの人気が高いのだ。

 ヤンゴンから商都マンダレーまで長距離バスを利用した。横3列で座席もゆったりしていて、液晶テレビも付いている最新式バスだ。5年前には考えられなかったミャンマーの長距離バス事情だが、急速に近代化の坂道を走りだした同国の実情が反映されるまで時間がかからなかった。

 というのも、ものの30分もしないうちに多くの若者やとりわけ女性乗客が「ゲーゲー」吐きだしたのだ。無論、全シートにはビニール袋が完備されているのだが、その使用率が半端じゃない。

 タイの長距離バスでも1人2人がバスに酔うことは珍しくはないのだが、なにせミャンマーでは10人中3人といった具合に、圧倒的に国民がまだバスに慣れていない状況がある。

 マンダレーでは現役の馬車タクシーが運行されている国柄だ。当然、多くの国民がバスの速さに三半規管がついていけないのだ。

 なお、ミャンマー北部のミッチーナ駅の前には、日本製中古バスが停車していた。その名も日本語で「下呂温泉行き」とある。

(T)