真冬の“梅雨”にうんざり


地球だより

 北大西洋上から次々にやって来る低気圧のせいで、この2カ月間余り英国は風雨の日が2、3日ごとに繰り返されている。まさに真冬の“梅雨”といった感じであり、うんざりする。冬場の氷雨は寒々とした気持ちになるが、幸い最高気温は10度近くあって、平均よりも3、4度高く、今年はまだロンドンで雪を見ていない。

 オックスフォード大学の観測所では、先月1カ月間の降雨量は平均の3倍で、1776年以降で最大の降雨量を記録した(とはいっても150ミリ程度だが)。例年にない降雨量のため、イングランド西部のサマセット州、ロンドン西方のバークシャー州のテムズ川中流地方など、川の流域や低地では洪水になっている。昨年12月以降、これまでに5800戸が浸水被害を受けて住民が避難しているほか、全国では風雪被害も加わって数万戸が常時停電状態になっている。

 地震や台風、噴火、竜巻、豪雪などの大規模自然災害は少ない国だけに、英国人はたまに襲ってくる天災に対して備えも対応も十分にできていないようだ。被災地の自治体や住民は、政府や環境庁の対応遅れを批判する一方、海外援助費を削って自国の洪水対策費に回せといった付和雷同的キャンペーンも行われている。

 多くの英国民の今の願望は、太陽を求めてカリブ海や中東のドバイ、タイなどに休暇旅行に出掛けること。17日から始まる学期中間休暇には約200万人が英国を脱出する予定だ。

(G)