打撃深刻なタイの観光産業


地球だより

 タイの首都バンコクで反政府デモ活動が長引いている。総選挙の投票が行われる2日にはピークを迎えるが、このままだと議員数が首相を選出できる定数に達することはなく、政治の空白期間が継続される見込みだ。

 反政府運動をリードするステープ元副首相は、「総選挙後も力を抜くことなくさらなるデモを継続する」と述べていることから、政治的混迷はますます深くなる様相を示している。

 路上占拠型の反政府デモで一番打撃を被っているのがバンコクの観光産業だ。

 土産物店やホテルなどが立ち並び、普段はバックパッカーなど外国人観光客でにぎわうバンコクのカオサン通りでは、観光客の足が遠のき始めており、ほとんどの宿泊施設で予約のキャンセルが相次いでいる。

 わけてもタイ観光のピークは、11月から2月までの雨期を終え乾期入りした時期だ。この季節は、日本でいえば初秋にも似て、朝夕は涼しく空も晴れ渡っている。特にクリスマス休暇などで例年、欧州などからどっと人が押し寄せもする。

 だが、今回は様相が違った。一番の書き入れ時に、爆発物が投じられたり銃による負傷者が出たりした反政府デモと重なったことで、外国人観光客がタイを敬遠し始めたのだ。

(T)