タイ人がインド人を漁船で強制労働


地球だより

 今月上旬、タイの現地紙でインド人を漁船で強制労働させようとしたタイ人が警察に捕まったというニュースが掲載された。

 犬が人間をかんでもニュースにはならないが、人間が犬をかめばニュースになる。

 その意味では、間違いなくこれはニュースそのものだった。

 タイでは「草原でコブラとインド人に同時に出会ったら、まずインド人をたたきのめせ」と言われるほど、インド人は嫌われている。金に汚なかったり、いろいろだまされてきた経緯からインド人が嫌われるようになったが、そのインド人をだまして強制労働に就かせるのだから、一枚上手のワルのタイ人がいたということだ。

 昔、だまされて2年間、マグロ漁船できつい労働を強いられたタイ人を取材したことがある。バンコク中央駅構内で「稼ぎのいい仕事だ」ということで彼に紹介された仕事が、1年に1度ぐらいしか陸に上がれないマグロ漁船での就労だった。

 だがいったん、遠洋に出ると就寝時間は1日3時間だけ、後は縦網を流したり、網の手入れだとか一日中、こき使われる。拒否したり漁労長に盾突くとそのまま海に蹴落とされる現代の奴隷船だ。

 インド人がそうした強制労働のターゲットになっているというのは驚きのニュースだった。

(T)