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経済コラム−視点
2011年11月29日

東アジアから共生共栄の文明胎動の秋

 国民新党の亀井静香代表は25日、記者会見で昨今の欧米の深刻な財政・金融危機を念頭に、「日本が未曾有の国難に見舞われる中で、世界経済の大きな危機が既に始まっている」との厳しい認識を示した。

 一部では郵政改革法案成立のメドが立たなくなったため、国民新党の存在意義がなくなるとの危機感から「新党構想」をブチ上げているとの見方がある。しかし、記者会見などで亀井氏の危機意識が尋常でないことを感じている筆者としては、そんな次元ではないと思う。

 素朴に考えると既に高齢だ。郵政改革法案が廃案に終わるならその責任は、昨年夏の参院選でマニフェスト違反の消費税大増税を掲げたため過半数の議席を取れず、自公両党に擦り寄ってしまった菅直人代表以降の民主党執行部にある。だから、政界引退して悠々自適の余生を過ごせば良いではないか。

 それをなお汗をかいているのは、日本を始め欧米先進諸国を中心に世界が重大な局面に見舞われているため、何とかしなければならないという憂国の表れではないか。そのために、単なる新党結成という次元ではなくて、政界再編を通して「戦後政治の総決算」に動いているのではないかと推察する。

 大マスコミが伝えない亀井氏の危機意識を論証する書籍が最近、相次いで出版されている。20万部のベストセラーになっている経産省官僚出身・中野剛志京大助教の「TPP亡国論」、ネット言論界リーダー格で政経エコノミスト・植草一秀氏の「日本の再生」、「ミスター円」として国際的に知られた榊原英資元財務官の「世界恐慌の足音が聞こえる」、三菱総合研究所出身エコノミストの高橋乗宣氏らの「2012年 資本主義大清算の年になる」、早くからリーマンショックを予測し、的中させた米国政治思想研究家・副島隆彦氏の「金・ドル体制の終わり−もうすぐ世界恐慌」だ。

 副島氏は、米国で金など貴金属とドルの交換の停止をひとつの狙いとした「金融制度改革法(ドッド・フランク法)」が今年の7月15日から施行され始めたことに着目、ドル・金本位体制から始まったブレトンウッズ体制は完全に崩壊するとし、世界資本主義の統制経済入りを予測している。なお、同氏は「独自の情報網」から、国際通貨基金(IMF)のストロスカーン前専務理事が「痴漢問題」で失脚した本当の理由として、米国が保有金をほとんど使い果たしていることを追及していたことを指摘している。

 昨今の世界の経済危機の表面上の理由は、米国の積年の「財政・貿易の双子の赤字」を中心とした世界的な対外収支不均衡である。そして、その根本的な原因は、ドイツの碩学で社会学者のマックス・ウェーバーが明らかにした近代欧米資本主義創出の精神的原動力となったプロテスタンティズムの倫理(禁欲のエートス)の喪失で、自己抑制、節度ある消費ができなくなったことにあろう。

 欧米の資本主義は「新自由主義」で理論正当化したものの、物欲を満たすための「金融強欲資本主義」に変質し、財政・金融危機、貧富の格差を世界に拡散させただけだった。

 パックスアメリカーナ製の既存の体制は崩壊しよう。東アジアから世界資本主義の全般的危機を克服する共生共栄の公益資本主義文明が胎動すべき秋である。

(完)

(ポン太)


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