スルガ銀行、ずさんな融資は許されない


 静岡県に拠点を置くスルガ銀行(沼津市)はシェアハウス関連の融資をめぐり、審査書類の偽造や改竄(かいざん)を行員が認識しながら実行していたことを明らかにした。ずさんな融資で銀行への信頼を損なった責任は重い。

審査書類の改竄を認識

 今回の問題では、約700人の投資家の大半がスルガ銀から融資を受け、複数の販売会社を通じて女性専用のシェアハウス物件を購入。それを不動産会社スマートデイズ(東京)が借り上げて女子学生らにまた貸しし、あらかじめ約束した賃料収入を投資家に支払っていた。

 ところが、スマートデイズは入居率の低迷などで今年1月に賃料支払いを停止。4月に経営破綻したため、スルガ銀から借りた購入資金の返済に窮する投資家が続出している。投資家は一般の会社員らが多く、1人で1億円以上借り入れているケースもあるという。

 問題は、融資の審査のための書類や預金通帳などで年収や預金残高を水増しするなどの改竄がスマートデイズ関連の販売会社によって行われ、スルガ銀の行員もそのことを認識しながら融資を行っていたことだ。消費者ローンとの抱き合わせによる契約など、強引な営業手法も明らかになっている。

 地方銀行が経営に苦しむ中、高収益を上げ続けるスルガ銀は「異端児」として注目を集めてきた。預金残高は4兆円で地銀約100行中30位前後の規模だが、預金と貸出金の利回り差を示す利ざやは2%台と一般的な地銀の2倍の水準だ。

地銀の多くが地元の中小・零細企業向けの融資を中心とする中、首都圏や大阪市にも出店。住宅ローンや消費者ローンなどを強化し、2018年3月期の個人向け融資は全体の約9割に達した。

 しかし今回の問題で、業績至上主義の企業体質が露呈したと言えよう。スルガ銀の内部調査によれば、営業担当幹部が融資審査を担う部門を恫喝(どうかつ)し、リスクの高い融資を行っていた。

 銀行はお金を預かり、適切な運用で顧客に利益を還元する。預金を貸し出すことで個人や企業の資金調達も担う。お金を動かす以上、高い信頼を得られなければ営業できないだろう。

 だが、スルガ銀に顧客の利益を重んじる姿勢は見られない。ノルマ達成のため、審査書類の偽造や改竄にも目をつぶることは許されるものではない。

 今回の問題をめぐっては、偽造や改竄に銀行も関与していたかどうかなど分からない点も多い。スルガ銀は外部の弁護士で構成する第三者委員会を設置した。不正行為の実態を徹底解明する必要がある。金融庁も立ち入り検査の結果を踏まえて厳正な処分を行い、再発防止につなげるべきだ。

問われる監督の在り方

 人口減と消費低迷による地方経済の停滞を受け、金融庁は地銀再編を推進して個々の地銀が新たなビジネスモデルをつくり上げることを重視。その中で、スルガ銀を「地銀のお手本」として評価してきた。

 その意味で、金融庁の監督の在り方も問われている。一方、投資家もうまい話に安易に乗るべきではないだろう。