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TPP新協定、やはり米国の復帰が望ましい


 米国を除く環太平洋連携協定(TPP)加盟国11カ国の新協定「TPP11」の署名式が8日(日本時間9日)、チリのサンティアゴで開かれる。

 中国を牽制する狙いも

 TPPは関税・ルール両面で高いレベルの自由化を実現するものだ。米国を含む12カ国が2016年2月に署名した。

 しかし、17年1月に米大統領に就任したトランプ氏が離脱を表明したため発効できなくなった。一時は空中分解の危機に直面するなど漂流しかけたが、日本が主導する形で枠組みの維持にこぎ着けた。

 新協定は、米国を含む12カ国で合意した内容を原則維持。ただ、米国が強く主張したことで実現に至った知的財産権の保護や政府調達の規制緩和など「貿易・投資ルール分野」の計22項目に関しては、米国復帰までの間、実施を凍結する。発効条件は大幅に緩和され、半数以上の6カ国が批准すれば発効する仕組みとなった。日本は今国会に関連法案を提出し、19年中の発効を目指している。

 TPPには「アジア太平洋地域の21世紀の貿易・投資ルール」(安倍晋三首相)として、軍事的・経済的影響力を増す中国を牽制する狙いがある。その意味では、やはり米国の復帰が望ましい。

 日本を含む16カ国による東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の交渉では、自国産業の保護を優先する中国などと、TPP並みに高い水準の自由化を求める日本やオーストラリアなどの間に隔たりがある。

 TPPには、電子商取引のルールや国有企業への規律など中国を念頭に置いたルールも盛り込まれている。米共和党主流派はかねて中国に先駆け、アジア太平洋地域の通商ルール構築を主導することで影響力を保持することが、外交戦略上のTPP参加メリットだと説いてきた。

 トランプ氏は今年1月、スイスのダボスで開催された世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)で、TPPについて「もしすべての国の利益になるのであれば、個別かグループでの交渉を検討する」と述べ、復帰も含めて検討することを明言した。復帰の意図があることを示したことは重要である。

 TPP離脱でアジア市場を失うことを恐れた米財界、産業界の一部から復帰を求める声も強まっている。11カ国の国内総生産(GDP)は合計で10兆㌦に上り、世界全体のGDPの13%以上を占めるが、米国を加えると40%に達する。経済面でも米国の存在は大きい。

 日本政府の試算では、TPP11のGDP押し上げ効果は7・8兆円。米国を含む12カ国で見込んでいた13・6兆円から大幅に縮小するため、新たな国・地域の加入にも期待している。

 台湾、韓国、タイなどが参加に関心を示しているという。だが、米国を含む「第2陣」の正式な加入はTPP11の発効後に持ち越される。

 日本は働き掛けを続けよ

 日本はTPP11発効に向けたプロセスを着実に進める一方、米国に復帰するよう働き掛けを続けていくことが緊要だ。トランプ氏には復帰の方針を早期に示すよう求めたい。