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日本WTO勝訴、輸入規制解除拡大につなげよ


 世界貿易機関(WTO)の紛争処理小委員会(パネル)は、韓国による日本産水産物の輸入禁止措置について日本勝訴の判断を下した。韓国は東京電力福島第1原発事故後、青森、岩手、福島、宮城、茨城、栃木、群馬、千葉の8県産の水産物輸入を制限している。

 韓国以外にも多くの国・地域が農林水産物の輸入を規制している。WTO勝訴を機に、日本は禁輸解除への働き掛けを強めるべきだ。

 韓国の措置は「不当」

 2011年3月の原発事故後、韓国は8県産の水産物の一部輸入を禁止。13年9月には全面的に禁止した。韓国向け水産物は13年8月までの1年間に109億円が輸出されていたが、全面禁止以降は1年間で84億円に減少した。

 このため、日本は15年5月にWTOへ提訴した。WTOのパネルは今回、韓国の輸入禁止措置について「恣意(しい)的、または不当な差別に当たる」と指摘。WTO協定に違反しているとして是正を勧告した。

 日本の食品に対する放射性物質の検査は国際基準よりも厳しく、安全性の確認を徹底している。WTOの判断は妥当だ。

 原発事故後、54カ国・地域が輸入制限を導入。このうち半数が制限を完全に撤廃した。しかし、17年に日本から輸出された食品・農林水産物(8073億円)のうち、3分の2を占める香港、米国、中国、台湾、韓国の上位5カ国・地域は何らかの輸入規制を継続している。

 WTOで日本勝訴の判断が下された意義は大きい。日本は規制を続ける各国に解除を強く訴えるべきだ。

 もっとも、これまでの日本の厳格な品質管理・検査によって欧米では輸入規制を緩める動きが広がっている。米国は昨年9月に岩手など5県産の牛乳・乳製品の規制を緩和。欧州連合(EU)は昨年12月、福島のコメなど10県産の一部食品について規制を解除した。

 だが、有望な輸出先のアジアでは懸念が依然強い。特に中国は、福島や東京など10都県の農林水産物・食品を全て輸入禁止としている。このほかの地域についても、放射性物質検査証明書の添付を義務付けるなど厳しく規制している。日本の食品の安全性について理解をさらに広げていくことが必要だ。

 今回の判断は裁判の一審判決に当たる。韓国は「日本の原発の状況や、食の安全の重要性などを勘案すると、パネルの判定には問題がある」として最終審に相当する上級委員会に上訴する方針だ。既存の輸入規制は、この紛争解決手続き終了まで維持される。上級委には公正な判断を求めたい。

 科学的根拠に基づかない風評の払拭(ふっしょく)が求められるのは日本国内も同じだ。原発事故の起きた福島県では、7年近く経(た)つ現在も風評被害が大きい。

 被害を受けるのは農水産物だけではない。福島から全国各地に避難した子供がいじめられるなどの問題も起きている。

 風評被害を防止せよ

 政府は風評被害を防止するため、放射能についての正しい知識など国内での情報発信を強化すべきだ。それが対外交渉力を強めることにもなろう。