日本にやって来た昨年の外国人旅行客は前年…


 日本にやって来た昨年の外国人旅行客は前年よりも約2割増しの約2869万人で、5年連続の過去最多の更新となった。この勢いが続けば、東京五輪の2020年までに訪日客4000万人という政府が掲げる目標の達成も視野に入ってくる。

 訪日客の増加は個人客を中心に加速していこうが、そのためにも旅行者の足が東京に集中するのではなく、地方に分散して向かうことが望ましい。地方の観光地も、その魅力の発信や英語をはじめとする外国語表示板の充実などに力を入れ、外国人が訪れやすい環境整備を進めている。

 大きな課題はヤドとアシであろう。ヤドでは今年6月に「住宅宿泊事業法」が施行され、既存施設の民泊活用が進む。同法はマンションや空き部屋に旅行客を有料で泊める民泊の運用ルールを定めるものである。

 アシも既存インフラを有効活用する工夫が必要だ。JRの乗車券は一定条件の下で、途中下車ができる。そこで、新幹線などの特急券も気軽に途中下車できるように料金制度を改めれば、訪日客や観光客も地方観光地に寄りやすくなる。

 例えば、北海道新幹線の東京-新函館の特急料金は1万1130円だが、途中の仙台で下車すれば1万4140円も掛かる。これではぶらりと気軽に降りてみようという気は起こらない。

 地方を訪れる人を増やす。観光立国はもとより、地方創生、地域活性化を図る上でもアシの利便性向上にさらに工夫が求められる。