人手不足を訴える業界や企業が増えている…


 人手不足を訴える業界や企業が増えている。外食などのサービス業界は特に深刻のようだ。政府の「働き方改革」の眼目の一つは人手不足の解消を図るということだ。

 チェーンレストランを経営するロイヤルホールディングスの黒須康宏社長は実験店舗を設け、来店客が自ら専用タブレットで注文するサービスや、調理時間を短くできる最新鋭のオーブンレンジも導入するなど苦心。「(業務効率化に向けて)いろいろ試していきたい」と話している。

 人手不足というと、日本経済の中では1970年代から80年代の労働市場が思い起こされる。この時は製造業で深刻で、ここで活躍したのが「産業用ロボット」だった。

 当時、通産省(現経済産業省)が音頭を取って開発した産業用ロボットは、全国各地の工場で歓迎され、生産性を上げるのに大いに役立った。今日も政府はロボットを活用する方針だが、こちらはなかなか進まない。

 その理由は、すでにロボットの需要は産業用から、家庭などで人間と共存できる「柔らかい機械」(吉川弘之監修『ロボット・ルネサンス』)に移っているからだ。しかしその開発がままならず、むしろ「機械を含めた技術システムの全体は人間の眼前から遠ざかっていく傾向があった」(同)という。

 確かに、人工知能の癒やし犬などが間もなくお茶の間に登場するが、今待望されるのは、店舗や調理の場などで人と協働して活躍できるロボットなのだ。