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7~9月期GDP、生産性革命で実効ある政策を


 7~9月期の実質GDP(国内総生産)速報値は、16年ぶりの7四半期連続プラスになった。ただ、伸び率は低く、しかも外需主導の成長で内需は減速が顕著。個人消費や設備投資の伸びに力強さを欠く日本経済の課題を浮き彫りにした。

 2019年10月予定の消費税増税の実施には、内需主導の自律的拡大の定着が不可欠。賃上げや設備投資増へ実効ある「生産性革命」が問われている。

個人消費は前期比減

 7~9月期の実質GDPは前期比0・3%増(年率換算で1・4%増)。実質GDPの増減にどれだけ影響したかを示す寄与度は、内需マイナス0・2%、外需プラス0・5%である。

 この数字が示すように、成長を牽引(けんいん)したのは輸出である。世界的な景気回復を追い風に米国向けの自動車やアジア向けのスマートフォン用電子部品などが好調だった。

 一方、内需は総じて振るわない。特に個人消費は前期比0・5%減。猛暑予想でエアコンなど家電販売が好調だった前期の反動減のほか、台風や長雨といった天候要因から飲食や宿泊などサービス分野を中心に落ち込んだ。住宅投資0・9%減、公共投資も2・5%減である。

 設備投資だけが0・2%増とプラスだったが、人手不足に対応する省力化投資が多く、生産能力増強のための積極的な動きは限定的である。

 個人消費が伸びない理由の一つに、賃金が上がらないことがある。17年9月中間決算では収益の好調さから、18年3月決算を上方修正する企業が相次いでいるが、企業の利益増加が内部留保の蓄積に回され、労働者の所得増に十分つながっていないと指摘する識者が少なくない。設備投資が大きく伸びない理由も同様である。

 景気の山が高くない分、谷も深くない。それゆえに9月で58カ月の景気拡大となり、戦後2番目の「いざなぎ景気」を超えたが、消費者にとっては「実感なき長期成長」が続いている状況である。

 だが、このままでいいわけではない。人口減少時代を迎え、安倍政権が「国難」の一つに挙げた「少子高齢化」ばかりでなく、19年10月実施予定の消費税率10%への引き上げへの対応をどうするかである。

 安倍晋三首相は所信表明演説で、少子高齢化問題の克服に向け、「生産性革命」や「人づくり革命」の断行を訴え、来月にそれらの新しい政策パッケージを策定すると述べた。

 生産性革命では、人工知能やロボット、IoT(モノのインターネット)などを劇的に生産性を押し上げるイノベーションとして、「生産性革命・集中投資期間」と位置付ける20年度までの3年間に、企業による設備や人材への投資を促すという。方向性は間違っていないが、問題はいかに実効ある政策パッケージを打ち出すかである。

規制改革や税制で支援を

 増税への対応も、政策パッケージの中身次第では、賃上げも含め人材や設備への投資増、内需主導の自律的拡大へとつながり可能となってくる。具体的には規制緩和や税制面で大胆な支援策が取れるかである。