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神鋼データ改竄、不祥事繰り返す病巣は根深い


 神戸製鋼所のアルミ・銅製品などの一部について、強度などを示す検査証明書のデータが改竄(かいざん)され、顧客企業と交わした仕様に合わない不適合品が出荷されていたことが分かった。

 これまでも同社はデータ改竄を繰り返してきた。企業体質の改善が急務だ。

約200社に不適合品

 不適合品は、真岡製造所(栃木県真岡市)など全国の4工場から2016年9月から17年8月にかけて出荷した。アルミ製品約1万9300㌧、銅製品約2200㌧に加え、アルミ鋳鍛造品約1万9400個に上る。これはアルミ・銅製品の年間出荷量の4%に当たる。

 出荷先はトヨタ自動車や日産自動車、JR東日本など約200社に上る。トヨタでは一部の車種で車のボンネットやバックドアの部品に採用。JR東日本は東北新幹線に使用していた。このほか、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた国産主力のH2Aロケットや、三菱航空機が開発中の国産小型ジェット旅客機MRJ(三菱リージョナルジェット)にも使われていた。

 現在のところ、安全性に関する問題は出ていない。しかし、今後の調査で自動車部品の強度不足などが確認されれば、大規模なリコール(回収・無償修理)に発展する可能性もある。製品に対する消費者の信頼を揺るがした責任は重い。

 神戸製鋼では08年、子会社で鋼材の強度偽装が明らかになったほか、昨年もグループ会社でのばね用鋼線の強度試験データ改竄が発覚。今回分かった改竄の一部は約10年前から行われていた。管理職を含めて数十人が関わっており、納期や生産目標達成のために検査証明書のデータを書き換えてしまった。

 アルミや銅は事業所によって作る製品が違うことから高い専門性が求められる。人事異動が少なく、外部の目が働きにくいことも改竄につながった。組織ぐるみである以上、病巣は根深いと言わざるを得ない。

 東京株式市場では、神戸製鋼の株価が前週末比300円(22%)安の1068円のストップ安で取引を終えた。コンプライアンス(法令順守)に対する姿勢や業績への影響を懸念した売りが殺到したためだが、株主や取引先から厳しい目が向けられるのも当然だろう。

 製品データの改竄は他の企業でも目立つ。東洋ゴム工業では15年3月、建築用免震材料「高減衰ゴム」の数値を認定基準内に収まるように書き換えていたことが発覚。同年10月には、旭化成の子会社が行ったマンションの杭打ち工事のデータが改竄されたことが明らかになった。納期や工期に間に合わせるため、消費者の安全を軽視するのであれば本末転倒だ。

今度こそ企業風土変えよ

 神戸製鋼で不祥事が繰り返される背景には、管理体制の甘さや取引先との契約を守ることに対する意識の低さがある。

 同社は川崎博也会長兼社長をトップとする品質問題調査委員会を設置し、外部の法律事務所にも調査を依頼している。今度こそうみを出し切り、データ改竄を繰り返した企業風土を変えなければならない。