日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)…


 日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)が大枠で合意した。世界の貿易額の約4割を占める巨大な自由貿易圏が誕生することになる。米国の環太平洋連携協定(TPP)離脱で、萎み出した自由貿易推進の機運をもう一度呼び戻そうとの思いが、日EU双方にあるようだ。

 最大の懸案はEU産チーズだったが、低関税輸入枠を決め16年目にはこれを撤廃する。チーズとくればワインだが、現在1リットル当たり125円かかっている関税は協定発効と同時に撤廃される。

 チーズが欠かせないパスタ料理など、日本人の食生活の中に深く浸透してきている。イタリア料理の人気は高く、家庭でもパスタなどを作る機会が増えてきた。

 国内のワイン消費も右肩上がりに増えている。フレンチやイタリアンのレストランだけでなく、今では焼き鳥屋や居酒屋でもワインを置かない店はない。チーズもワインも欧州が本場でブランド力は高い。

 一方、日本国内では日本産ワイン造りが活気を帯びている。海外のワインコンクールで入賞するなど国際的評価も高まりつつある。今や国内のワイナリーは北海道から宮崎県まで全国に約240ある。外国産に比べ値段は高めだが、風土を生かした個性あるワインが造られている。

 関税撤廃は当然、国内のワイナリーにとって一時的には逆風となるだろう。しかし競争の中で、品質や個性が磨かれる。試練を越えて、日本ワインのブランドを確立してほしいものだ。