プレ金、認知度高めて定着を図れ


 毎月の最終金曜日に早めに仕事を終えるよう呼び掛け、買い物や飲食、宿泊などを奨励する「プレミアムフライデー」が導入され、24日が初回となった。消費拡大や働き方改革の起爆剤とすることを狙った官民一体の取り組みだ。

 初回の盛り上がりはいまひとつだったが、さらに認知度を高めて定着させたい。

 消費拡大につなげる狙い

 かつてバブル景気の中、週休2日制が定着し、サラリーマンの懐も豊かだった時代、「花金」の言葉がよく使われた。サラリーマンの所得増は十分とは言えないが、少しずつ上向きになっているこのタイミングでのプレ金の導入は、時宜にかなっていると言えよう。

 旗振り役の経済産業省は、職員に対し一斉メールで早帰りを要請。安倍晋三首相も早めに公務を切り上げ、東京・上野でミニコンサートを楽しんだ。

 民間企業では、大和ハウス工業が、始業を午前8時と普段より1時間前倒しし、午後1~5時を有給休暇にできる制度を導入。三菱自動車では工場の生産従事者を除く社員に午後3時の早帰りを奨励した。

 プレ金の標語は「月末金曜は、ちょっと豊かに。」。導入に際して、需要の先食いを懸念する声などに配慮し、普段より少し贅沢(ぜいたく)な体験や消費を楽しむという形に落ち着いたためだ。

 これに沿って、流通や飲食関連の企業は普段より少し豊かな気分を味わえるさまざな企画を用意した。消費もモノからコトへシフトする傾向がある。ヨガなど体験型のコト消費を伸ばすきっかけとしたいところだ。

 金曜午後3時の退社が可能となれば、首都圏から箱根など行楽地にその日の夕方には到着し、宿で夕食や温泉を楽しむことができるようになる。退社時間が2~3時間早まることで、金曜から週末にかけ、ゆったりとしたスケジュールを立てることが可能だ。プレ金の認知度がまだ低いため、ホテルや旅館の予約はそれほど増えておらず、受け入れ側も様子見の観があるが、今後定着すれば効果は大きいと思われる。

もちろん「自分たちとは関係ない」と冷ややかに見ている中小の企業や業界も少なくない。また、地方自治体は役所の窓口サービスなどさまざまな業務を止めるわけにはいかない。大都市圏と地方の違いも大きい。とはいえ、大都市圏で盛り上がって根付くようになれば地方への波及も期待できる。

 「働き過ぎ」と言われる日本のサラリーマンだが、職場にいる時間は長いものの、生産性は必ずしも高くないとも指摘されている。仕事中心の人生観など原因はさまざま考えられるが、会社の他の社員との関係で、自分だけがさっさと仕事を終え、退社することへの気兼ねもあるだろう。

 働き方の改革を期待

 これは良くも悪くも日本人の集団主義的な傾向からくるもので、致し方ないのではないか。そういう意味では、企業が一斉にプレ金を導入して午後3時に終業となれば、遠慮せずに退社できる。

 働き方の改革につながることを期待したい。