貿易赤字の縮小には原発再稼働が不可欠


 2013年度上期(4~9月)の輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は4兆9892億円の赤字だった。赤字額は前年同期の1・5倍に拡大し、1979年以降で最大となった。

 原発の稼働停止に伴い火力発電燃料の液化天然ガス(LNG)の輸入が高止まりする中、対ドルで前年同期に比べ円安が2割以上進んだことで輸入額が押し上げられ、赤字額が大きく膨らんだ。赤字縮小には、原発再稼働が不可欠だ。

 かさむ火力発電の燃料費

 9月の貿易収支も9321億円の赤字となり、過去最長の15カ月連続の赤字となった。これまで好調だった新興国経済は成長鈍化に見舞われており、輸出環境は良好とは言えない。

 一方、関西電力大飯原発4号機(福井県)が先月、定期検査のため停止したことで、1年2カ月ぶりに全国の計50基の原発が全て止まった。この状況が続けば、火力発電に依存せざるを得ない。経済産業省の試算によれば、火力発電の燃料費の増加分は今年度、3兆8000億円に上る。

 電力会社の収益は大幅に悪化しており、すでに電力6社が政府の認可を伴う本格的な料金改定を実施している。電力会社が火力発電に頼る現状が長引き、さらに電気料金が値上げされれば、家計や企業の負担が大きくなって国内産業の空洞化を加速させかねない。アベノミクスによって回復しつつある景気にも水を差すことになろう。

 原子力規制委員会は、再稼働の前提となる新規制基準への適合性審査(安全審査)を進めている。7月に申請があった北海道、関西、四国、九州の4電力6原発に関しては、当初は半年程度で終わるとの見方もあったが、審査に入ると電力側の準備不足が露呈し、越年は必至の情勢だ。一方、9月に申請した東京電力柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)は、福島第1原発の汚染水問題が影響し本格的な審査に入れていない。

 福島の事故を踏まえ、原発の安全性向上が必要であることは確かだ。しかし、稼働原発がゼロのままでは安価な電力を安定的に供給することはできない。1キロワット時の発電に要する燃料費用は、原発では1円で済むのに対し、LNG火力発電の場合は13円掛かる。

 最近は、小泉純一郎元首相が「原発ゼロ」を主張している。だが、太陽光など再生可能エネルギーによる発電は天候に左右される欠点がある上、コストも原発以上に掛かる。導入を進めることは大切だが、原発が供給してきた電力を代替することは難しい。「原発ゼロ」は非現実的だと言えよう。

 政府はこのほど、中長期的なエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」で、安全確保を前提に、国の電源構成の一定割合を原発で賄う方向性を打ち出す方針を固めた。原発の安全性向上と電力の安定供給の両立を図るべきだ。

首相は実現に責任を

 安倍晋三首相は、国会答弁で「原発ゼロ」に否定的な見解を示した。首相は、規制委によって安全が確認された原発の再稼働実現に責任を持たなければならない。

(10月23日付社説)