善く生きる:書評サンデー世界日報5月19日号「ぶっくす」欄から 「人間とは神秘に向かって開かれた存在」という言葉が印象的だ。アイルランド詩人イェイツを専門とする著者の思想には芸術的な神秘主義の趣がある。ところが唯物論には極めて戦闘的だ。「唯物論というのは間違いなくこの世界を滅ぼす思想」「それは子どもから人間性を奪い、…暴力による以外に出口がないかのような動物的世界に閉じ込める」と。大学での体験からだろうか。「宗教も芸術も教育も、治療としてみることができる。すなわち病気の人間を本来の状態に戻す手段」という見方は新鮮だ。その本来の状態を、物質原理と生命原理との比較で明確に述べる。前者の属性が、排除、敵対、自己主張、孤立なのに対し、後者は融和、相互浸透、共存、自己犠牲、そして愛だという。西田幾多郎やヴィクトル・フランクル、マスローなどの思想、最新の宇宙論への深い理解も参考になる。 back |