まえがき

 わが国は今、未曾有の国難に直面している。いや、もっと有り体に言えば「国難」を認識できないほどまでに「人心が荒廃」していると考える。とりわけ、政治指導者においてである。与野党のリーダーが、おしなべて「改革」を声高に叫べば叫ぶほど、それはなお一層空虚さが増す。

 戦後、わが国は先進国・欧米に追いつけ追い越せとばかりに「経済」にのみ重点をおいてきた。そして世界に冠たる「経済大国」の地位を確保したとはいえ、バブルの崩壊に象徴されるように、その「大国」は「砂上の楼閣」であったことは周知の事実である。

 しかも、米国、ソ連の両超大国が対峙した冷戦時代は、自由主義を掲げる米国・西欧と連携さえしていれば、世界中に共産主義・社会主義を拡散しようとしたソ連・東側陣営の魔の手からは守られてきた。 ところが、冷戦後、「民族紛争」「領土紛争」「宗教対立」「テロ」「環境汚染」「南北問題」「モラルの荒廃」「エイズ」等、冷戦時代にはあまり表面化して来なかった難題が表出してきた。冷戦の最中に、「ポスト冷戦」に備えなかったが故に今日の「国難」が押し寄せて来ているわけである。

 本書は、こうした「国難」を回避し超克する「指針」として、小紙に掲載した有識者による座談会・鼎談・対談を編纂したものである。

 中曽根康弘元内閣総理大臣をはじめ、各界のまさしく碩学の方々に登壇していただいている。テーマは、「指導者論」「憲法」「メディア」「教育」「最先端研究」「文化・芸術」「食育」等々、多岐にわたっており、いずれも今日、そして未来の日本と世界のあり方に良き指針を与えるものと確信する。

 幸いにもご登壇いただいた先生方のご協力があり、世に問うこととなった次第である。

 平成17年立春

小紙「世界日報」創刊30周年によせて

世界日報社代表取締役社長・主筆 木下義昭


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