「2001改訂版 みんなが知りたい日本共産党50問50答」を読む

ジャーナリスト・今井 道夫

 日本共産党は昨年十一月の第二十二回党大会で「不破議長−志位委員長−市田書記局長」新体制をスタートさせた。三十六年間も独裁体制を敷いてきた宮本顕治氏(前名誉議長)は名誉役員というヒラ職に格下げされ、表舞台から完全に姿を消した。

 怖いものがなくなった不破氏の共産党は、昨年六月の衆院選惨敗をどう分析し、連立政権参加へのラストチャンスとも言うべき二〇〇一年参院選にどう臨もうとしているのか、いま一番知りたい疑問に、あますことなく答えてくれるのが本書である。

 共産党がイメージチェンジにいかに気を遣っているかは、終章に添えられた日本共産党の主要幹部の写真付きプロフィールを見ても一目瞭然である。最高権力を握る常任幹部会委員に四十歳で抜てきされた山下芳生氏の写真には、「革命家」はむろん「大衆活動家」の臭いもない。そのまま保守派の「エリート青年議員」として通じる“かっこよさ”なのである。

 第二十二回党大会では、石井郁子という女性を初めて副委員長に任命したことも話題になった。もともと日本共産党は「女性」に力を入れてきた。地方議員の女性議員数の割合は日本の政党の中でダントツ、ナンバーワン。学生・青年をターゲットにしたフロント組織、日本民主青年同盟委員長に九九年末に初めて坂井希という女性を起用している。「共産党が女性を重視する背景には何があるのか」についてQ&Aで詳しく解説している。

 なんといっても党大会の最大の関心事は、党規約の改定と自衛隊活用の容認であろう。党規約改定では、共産党のキーワードと思われる「前衛政党」さらには「階級闘争」「社会主義革命」という言葉さえ削除した。

 共産主義の骨格をなすこれらの言葉を隠すようになっているわけで、そのこと自体、ソ連崩壊後の共産主義神話の崩落現象ともいえるのだが、隠してもまだ揺るがない革命信条を党員が共有しているからこそ可能な芸当である。不破議長の巧みな発言をたどりながら、共産党の真意に迫っている個所は説得力がある。最近繰り返している天皇制容認発言の分析も見事である。

 また党大会では「アメリカ帝国主義に従属した軍隊」(「日本共産党100問100答」)としてきたはずの自衛隊の活用を容認する決議をわざわざ行ったのだから驚きである。なんとしても連合政権に入りたい、という意欲が見てとれるが、本書によると、もともと共産党の段階的革命論では民主連合政権後に来るであろう、民族民主統一戦線政府内では「人民軍」の保有を検討することになっている。

 武力闘争を行った一九五〇年代の共産党は、その名も「中核自衛隊」という軍事組織を持ち、約一万人が火炎ビンやラムネ弾、時限爆弾を使って全国を暴れ回っていたわけで、政権入り後も自衛隊という名さえ変更しないことも考えられる―とのこと。悪いジョークではある。


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